Chapitre1:出会い3

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ジェリーさんの気遣いと美味しいご飯にほっこりして、その日はゆっくりと休むことが出来た。

次の日、だいぶ体は良くなっていたけれどまたジェリーさんがやってきた。

 

この日は姉さんが家に居なかったので、ジェリーさんは食材を沢山買った袋だけ持って来ると家に入らずそのまま帰ってしまった。

私が風邪をひいてからのこの数日、ジェリーさんは毎日来てくれていた。

 

だから、今度はジェリーさんが風邪を引くんじゃないか…と心配だったけれどジェリーさんはとにかく私の体を心配してくれた。

「早く良くなってね、そしたらまた美味しいものを食べに行こう。」

そう励ましてくれた。

 

2日3日休んで体調はほとんど良くなったものの、もともと夏が苦手で東京の暑さにはかなりやられていた私。

普通ならすぐに治るようなただの風邪でも、今回はすぐには回復しなかった。

 

しかし、さすがに悪いのでここ3日4日毎日大量の食材を持ってきてくれたジェリーさんに

「もう体調はだいぶ良いから食材は持ってきてくれなくても大丈夫だよ、ありがとう」

とメールする。

 

ジェリーさんは、「俺が会いたかったから行ってただけだし毎日会えたら嬉しいよ。」と言う。

確かに私も暇な時は友達によく連絡を入れて毎日遊ぶから、ジェリーさんはまだ日本に来たばかりであまり友達もいないだろうし…暇なのかなと単純に思っていた。

 

私もフランスに行ったばかりの頃はほとんど友達が居なかった。

よく暇してたよな~とふと懐かしく思い出し、「じゃあ体調が完全に良くなって、元気になったらまた遊ぼう」と伝えると、ジェリーさんは「楽しみにしてるね」と言っていた。

 

大して具合が悪いってわけじゃないのに、何で体がこんなにだるいんだろう?これは夏風邪じゃなくて夏バテなんじゃないかと思っていた。

相変わらず食欲は旺盛で、どこか調子が悪いってわけじゃないんだけど今頃になって遊び過ぎたツケが回ってきたんだろう。

 

それもそのはず、日本に帰って来てもう1か月以上遊び続けていた。

この辺で少し大人しくして、元気にパリに戻らないと…そう思っていた。

 

次の日は久しぶりに姉さんと2人でゆっくり過ごす。

と言っても、お互い仕事や学校があるので全てを終えて家に帰り、夜ご飯を食べてそのまま寝るだけなのだが。

 

当たり前の日常の1コマみたいなものだけど、久しぶりにゆっくりできて至福の一時だった。

 

平凡な1日にこんなに幸せを感じるなんて…やっぱり遊び過ぎて疲れていたのかもしれない。

そう思っていたら、ジェリーさんからメールが入る。

 

「渡したいものがあるんだけど、明日会えるかな?」と。

渡したいものってなんだろう?また食材??なんて思いながら次の日少しだけ会うことに。

 

その日は姉さんが家に居たので、私の仕事が終わって帰ってからジェリーさんが姉さんの家に来る形で会うことにした。

バイトが終わり、家に戻るとジェリーさんがすぐに家にやってきた。

 

姉さんはからかうように「毎日ご苦労様~」と言い、ジェリーさんと何やら韓国語で笑いながら言い合っていた。

最近日本語学校どう?と聞いたらあんまり学校には行ってないみたい。

 

行かなきゃ日本語上達しないよー!と言ったけど、勉強は頑張ってるみたい。

いつも辞書肌身離さず持ってるもんね。

 

少し話をして、「じゃ、コレ早く元気になれば良いと思ってプレゼント。俺、帰るね。」そう言って帰っていった。

開ける前に、プレゼントって何?って聞いたらmioが犬が好きって言ってたからワンちゃんだよと言っていた。

 

ワンちゃんのなんだろう…?そう思って包装紙を破ると、中から出てきたものを見て思わず吹き出してしまった。

中身はわかったけど、ジェリーさんは間違えている。

 

包装紙を破ると箱があり、その中にはふわふわとした可愛いぬいぐるみが入っていた。

ぬいぐるみというより人形だ。

 

しっかり縫製されていて、右足にはMADE IN ENGLANDの文字。

マントを羽織ってキャスケットみたいなものをかぶっているいかにも高そうな人形だ。

 

とても愛らしい見た目だけれど、これがワンちゃん…?

大きな耳が左右についていて真ん丸で…私の目にはどう見てもクマにしか見えないのである。

 

クマも大好きなんだけど、これがどうやったら犬に見えるのか不思議でしょうがない…何度見ても笑えてくる。

早速ジェリーさんにメールする。

 

「可愛いぬいぐるみありがとう。すごく嬉しい!でもこれ犬じゃなくてクマだよ?犬に見えたの?笑」と送る。

すると、「あれ可愛いでしょ。伊勢丹で見つけたんだよ!あれ犬じゃないの?クマなの???」という返信。

 

誰がどう見てもクマだよ!

犬とクマを間違える人って居るんだなと笑った。

そんなジェリーさんの気遣いもあってか、それから私も以前のように元気になりまた遊びに行ったりご飯を食べに行くようになった。

 

姉さんの韓国人の友人も交えてご飯を食べに行くこともあった。

その中の一人、ハリムがある時ジェリーさんのことを良いなーと言っていた。

ハリムは韓国人の年上の彼が居て、付き合って結構立つ感じだったけどなにせ軽い。

 

ハリムは自他ともに認めるプレイガールなのだ。

ボブの金髪にエクステをつけ、地黒でカラコンを入れていて…見た目は完全にギャル。

以前は日本人やドイツ人とも付き合っていたらしい。

そんなハリムは積極的にジェリーさんにアタックする。

 

しかし、空振りだったようで家に戻ってから姉さんが「ジェリーさんはmioしか見てないからハリム残念だったね。」と笑っていた。

私はとにかく、美味しいものを食べて笑って遊んでいられる環境が心地よくて楽しかったから…

 

楽しかったらそれで良いよ!と思っていて誰が付き合っていて誰が気になるとかどうでも良かったのだ。

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