煩悩とは、仏教では心身を苦しめるもののこと。
それは人間の行き過ぎた欲などから出来ていて、それを心の中に持ち続けている限り自分の成長の邪魔をすると考えられています。
その煩悩は全部で108個あると言われていて、それを消すために除夜の鐘が108回鳴らされるんですね。
大晦日は、大掃除やら新年を迎えるための準備やらで何かと忙しいと思いますがこの日に「煩悩消し」をやると一年を締めくくりまた新しい一年をより良いものにすることが出来ると言われています。
自分を見つめ直す良い機会にもなるので、毎年の恒例行事の一つとしておすすめしたいですね。
煩悩消しのやり方
まず一番最初に、白い紙と黒いボールペンを用意します。
その紙に、今年一年間で
・自分が出来なかったこと
・やりたいと思いながらも着手できなかったこと
・達成できなかったこと
・自分の嫌だったところ
・ここを変えたいと思ったこと
などを全て108個分書き出しましょう。
書く紙は何でも良いです。
適当な紙を用意して、108個思いつくだけの煩悩を全て書くことで「自分の良くなかったところ」「良くない感情」を全て吐き出しましょう。
普段は、自分が出来たことや頑張れたこと、達成できたことばかりに意識しがちです。
「今年はこれが出来たからまぁ良い年だったかな」
「今年はこういうことがあったから、人生を考える良い機会になった年だったな」
など、自分が出来たことを中心にその年一年を評価してしまいがち。
自分の出来なかったことや不満などには目を向けず、そのままになっていることが多いですがこれが次の成長の足かせになることがあるんです。
普段、自分のイヤな面ばかり見るのは大変ですし出来ればあまり考えたくないことですよね。
いつもはそれでも良いと思うんです。
ネガティブな気持ちを抱えていても、なかなか前には進めませんから。
でも、大晦日だけは新しい一年をより良い一年にするためにこの時だけは一年分の自分の裏の部分と向き合ってみましょう。
108個書き出すのは意外と大変
これ、実際に書いてみるとわかると思うんですが108個の煩悩を書き出すと言っても意外とそんなに簡単には出てこなかったりするんですよね。
最初は、自分が出来なかったこと、達成したかったけど及ばなかったこと…などを中心に書いていけるんですがそれも数十個書き出すと「他になにかあるかな…?」と思ったりします。
実際108個も自分に対する不満や出来なかったことがあったのかというとそんなに沢山はなかったりするのですが、思いつくだけ書いてみましょう。
「今年はちょっとした遅刻が多かった…」
「気付いたら部屋がすぐ汚くなっていた…」
というような、小さなことでも良いんです。
細かい部分の自分へのダメ出しをまとめれば、なんとか108個出せると思うので時間をかけて考えてみましょう。
その時に、自分は〇〇が出来なかった…と書くのではなく「〇〇をしなかった」という風に書くのがポイントです。
あなたが出来なかったこと、というのはあなたがしなかっただけだからです。
本当にそれをしないといけないのであれば、どうにか時間を作ってでもお金を作ってでもなんとか手段を見つけてやっていたはずです。
でも、それをしなかったということはそれだけあなたにとって優先順位が低かったということ。
言い換えれば、あなたがしなかったことというのはあなたにとって必要なことではなかった、つまりもっと他にやるべきことがあったからそちらを優先していただけに過ぎません。
それを、
「自分の努力が足りなかったから出来なかったんだ…」
「もっと頑張れたはずなのに自分だからやれなかった」
と思うのは、自分のことを否定して責めるのと同じです。
優先順位が高いほうを優先して頑張っていた自分が可哀想です。
煩悩消しをやるべき理由は、
・自分が出来なかったことを把握して次につなげる
・ネガティブな感情を吐き出してストレスを解消する
という理由もあります。
でも、本当の理由は「自分の努力を認めて受け入れる」ということだと思います。
自分がしなかったことは、他の優先順位が高いものに努力をしたという証明になるわけですから。
あなたはこの一年、とっても良く頑張りました。
でも、それを自分自身でもよく理解してあげてくださいね。
108個の煩悩を出し切ったら、その紙はそのまま少し置いておきましょう。
夜になったら全ての煩悩を消す
夜になったら、日付が変わって新年になる前にすべて書き出したものを一つ一つペンで消していきます。
一年って、最後のほうになってしまえばあっという間に終わった感じがしますが108個もの煩悩を見ているとこれだけ一年色々あったんだな…と思えると思います。
自分がしなかったことを108個も見ていると、自分は何も出来ていなかったんじゃないか?と思えるかもしれません。
でも、
「これも出来なかった…やろうと思っていたことが全然できていない」
「全然成長できていないんじゃないか」
などと思うのではなく、むしろ今煩悩を見つめることで来年はもっと成長できる、それだけ伸びしろがあるという風に意識を変えていきましょう。
煩悩消しが終わったら、その紙は捨ててしまいます。
これで、また新しく始まる一年のスタートを心地よい気持ちで迎えることが出来るはずです。
まとめ
私もこの煩悩消しはここ数年でやり始めたものですが、108個もとなると意外と時間がかかります。
少しずつ考えて、また書いて…「そういえばこれもやろうと思ってたけど、やってなかったな…」を思いついてまた書く、という風にやっているといつの間にか数時間経っていることも。
でも、すべて書き出せば書いた後はすごくスッキリしますしとても晴れやかな気持ちになります。
少しだけ前よりも自分が好きになれる瞬間でもあると思うので、大晦日の煩悩消しは年末恒例行事として欠かさずにやりたいですね。
コメント